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販売代理店契約のポイント3(契約書解説) Distributorship Agreement, Agency Agreement

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3.販売代理店契約の構成と契約条項のポイント 2

  • 価格条項

    商品の対価について規定します。

    ここでいう対価は、供給者から販売店への「卸売価格」ということです。
    通常は、価格表を契約書に添付するか、または別途供給者から提示された価格表に基づく、とします。
    供給者の「標準小売価格」の○○パーセントを卸売価格とする場合もあります。
    ただし、販売店側の小売価格をあらかじめ当事者間で決定し、その価格の○パーセントとすることは、「再販売価格の指定」となり、独占禁止法違反となりますので、そのような定め方をしないようにし、販売店の小売価格は販売店が決定するという原則を順守することが必要です。

    「価格表」については、契約当初のものが古くなった場合は改訂する必要が生じます。
    この価格表の改訂について、供給者としては、販売店の承諾を得ずに変更できるような規定とすべきです。

    なぜかというと、複数の販売店が日本中にある場合など、供給者にとって、販売店ごとに供給価格(卸値)が違うことは、管理上面倒なことになります。

    また、小売価格政策という観点からも、卸値が販売店ごとに異なることはあまり望ましくないでしょう(ただしあくまでも販売店の小売価格を結果的に拘束するような条件は、違法となりますので注意してください)。

    従って、供給者としては、自由に価格を改定できるような条項が望ましいでしょう。

    販売店としては、仕入れ値が高くなればその分小売値に反映させていけばいいのですが、問題は、価格表の改訂の効力がいつ発生するか、という点です。
    改訂された価格表が送付された当日や翌日から改訂価格の効力が生じるとすると、販売店としては、商談中の仕入れ価格を代えなければなりませんので、顧客の信頼を損ねることになりかねません。

    また、販売価格を広告などで宣伝している場合、あるいは店舗内に価格を表示しているような場合、価格表が変わったからといって直ちに小売価格の変更ができるとは限りません。

    従って、供給者としては、供給者が価格表を勝手に変えることは致し方ないとしても、効力発生時期を少し遅らせるよう、契約上規定することが肝要です。価格表が送付されてから1週間とか1か月という準備期間を経ているのであれば、販売店側としても損失が発生することはないでしょう。


  • 支払条項

    個々の個別契約における実際の支払金額は個別契約上に記載されることになりますので、ここでは、支払い方法や支払い期日という一般的な事項を定めることになります。

    販売代理店契約など継続的な関係においては銀行口座への電信送金(振り込み送金)によるとする場合が多いと思われます。
    また、小口の資金移動で済む場合は、最近小口のPayPalシステムによるとする場合も見られるようになりました。
    (PayPal社は米国のeBayが親会社となって設立された米国法人で、インターネットを利用した決済サービスを提供するアメリカの企業。詳細は同社ホームページにてご確認ください)

    ポイントは、支払期限を何時にするか、送金費用(銀行手数料等)を誰が負担するかなどです。

    なお、支払条件を個別契約ごとに定める場合もあります。
    1個別契約あたりの支払額が大きい場合や商品やサービスの形態によって支払い額が大きく異なる場合、あるいは基本契約段階で支払について詰め切ることができなかった場合などでは、個別契約任せにしている場合も多々存在します。


  • 購入努力義務条項

    前記の「競合禁止」条項の中でも少しだけ触れましたが、特に「独占的」な販売店契約の場合、ある一定期間(半期、1年間等)あるいは当初の契約期間中において、販売店が供給者から最低限購入しなければならない数量(金額)を定め、それに向けて最大限努力する義務を課すことが行われます。

    なお、非独占的な契約であっても、最低購入数量を課す場合もないわけではありませんが、販売店側にとって非常に厳しい内容となります。

    この最低購入数量(金額)が未達の場合に、どのような法律効果を発生させるかも重要です。単に、契約更新時の参考にする場合もありますが、半年とか四半期といった短期間の購入義務を規定する場合は、未達の場合を契約解除事由の一つとする場合が多いようです。
    独占権を付与した供給者としては、努力しない販売店を一刻も早く切り捨てることが必要ですから、このような解除まで規定することがよく行われます。

    ただし、あまり不合理な義務を課している場合などは、代理店の保護にかけるとして、解除が無効とされる可能性もありますので、合理的な規定を定めることが必要です。

    販売店は、現地において販売網を整備するなどの努力をしており、その努力を一瞬のうちに無に帰させてしまう解除は、信義則上問題があると考えられるからです。


  • 在庫維持条項

    販売店が販売活動を行うために、ある程度の在庫を持つことが必要な場合があります。
    そのような場合には、販売店側に適性在庫を自らあらかじめ購入しておくことが義務付けられることがあります。
    本条はその規定です。

    なお、デモ用には無償で供給者から供給されると規定される場合も散見されます。


  • 商標条項

    販売店が供給者の名称や「商標」などを用いる場合に、その使用を許諾するとともに、その使用態様の制限を規定する条項です。

    供給者の名称や商品の商標の用いられ方は、供給者側の信用や商品価値に影響を与えるものですので、通常は、供給者の使用方法に関するポリシーに則って用いることが販売店の義務として規定されます。

    また、販売店側が販売に使用するカタログやパンフなどについて、事前に供給者側からなされた指示に従うとする場合、あるいは事前承諾を取り付けなければならないとする場合などもあります。