本文へスキップ

契約書の作成、チェック(リーガルチェック,審査)など契約書専門 【寺村総合法務事務所】

販売代理店契約のポイント4(契約書解説) Distributorship Agreement, Agency Agreement

 契約書の作成、チェック 寺村事務所トップ > 解説目次 > 前へ > 販売代理店契約−4 > 次へ→販売代理店契約−5

3.販売代理店契約の構成と契約条項のポイント 3

  • 検査/受け入れ条項

    納品された目的物の検査期間、検査基準、検査方法等について定めます。
    そして検査合格の場合をもって、販売店側における目的物の受け入れ完了ということになります。

    この「受け入れ」を「検収」と呼ぶことが日本では多いのですが、「検収」という概念は法律用語ではありませんので、検収と書いたからといって法的効果が直ちに生ずるわけではない点、注意すべきです。)

    検査方法をどのようにするか、何を基準にするか、という点がまず重要です。
    また、検査期間が経過しても販売店が検査しなかった場合に見なし検収となるのかどうかもポイントとなります。


  • 所有権・危険負担移転条項

    目的物の所有権や危険の移転時期をここで定めます。

    例えば検査完了し引渡が完了した時点で買主に移転するとか、所有権だけは代金完済時に移転する、といった選択肢が考えられます。


  • 保証条項

    目的物が定められた仕様書に合致していることや、あるべき機能および安全性などを具備していることを、供給者側が保証する旨の保証規定です。


  • 瑕疵担保責任条項

    目的物に瑕疵(かし)=不良があった場合において、供給者がどのような責任を負担するかを定めた規定です。

    日本民法においては、売主者の瑕疵担保責任および請負人の瑕疵担保責任が規定され、商法においても商事売買の売主の瑕疵担保責任が規定されていますが、売主の瑕疵担保責任の中に「修理」をする義務が含まれるのかどうかは、明らかになっていません。

    従って、供給者の責任がどのようなものであり、販売店がどのような権利の行使をすることができるのか、またその行使期間はいつまでなのかを明確に規定する必要があると言えます。

    また、この責任は無過失責任だと考えられています。

    つまり、売主に故意および過失がない場合であっても、売主は責任を負担する必要があります。

    そこで、その点を契約上で追加し、例えば、供給者に故意または過失(あるいは重大なる過失)がある場合には、責任期間を期限なしにしたり、重い損害賠償額を負わせたりすることも検討できます。

    逆に、供給者サイドとして責任を負う場合を故意または過失がある場合に限定することも考えられなくはありません。

    このような取引一般の注意点のほか、販売店契約においては、顧客への転売のために商品が供給されていることから、顧客が使用することによって瑕疵が生じた場合などに、供給者がどのような責めを負うか、という点がポイントとなります。

    供給者としては、このような責めを一切負わないとする定めを置くことが多く、また賠償の上限を設定したりして、責任をできるだけ負わないようにします。

    販売店としては、検査で発見できなかった隠れた瑕疵が発見された場合に、供給者が負う責任期間を長期に取るなどの対策が考えられます。

    いずれにせよ、ここは供給者と販売店との間で利益の衝突が起こりやすい部分ですので、粘り強く交渉することが必要です。


  • 再販売店条項

    販売店側が、再販売店を起用することができるかどうかを規定します。

    再販売店の起用を供給者側の事前承諾にかからしめたり、販売店が単独で再販売店の起用ができるとしてもその名称や所在地を必ず供給者に通知する義務を負わせる、などの定めが考えられます。

    なお、再販売店のうち、「安売り店」だけを排除せよ、という定めは、独禁法違反ですのでご注意ください。


  • 製造物責任条項

    目的物に関し製造物責任問題が生じ、販売店側が紛争に巻き込まれたり賠償義務を負った場合に関する定めです。

    製造物責任とは不法行為責任の一種で、製造物の欠陥によって製造物の購入者などが損害を負った場合に、当該製造物の製造者や初めて輸入した者などが、賠償義務を負うとする責任です。

    不法行為責任の一種ですから、賠償者と被害者との間に何ら契約関係がない場合でも責任を負うことになります。

    しかし、製造物の製造者(=販売店契約上の供給者)と販売者(=販売店契約上の販売店)との間は製造物責任法のカバーする領域ではありません。

    そこはあくまでも契約上の問題となります。

    つまり、製造物責任法により販売店契約上の販売店が被害者に賠償義務を負ったとしても、それが賠償した賠償額を実際に製造した供給者に負担させる=補償してもらうことは、契約上の定めによることになります。

    そのポイントは、仮に、製造物に関する問題が誰の責任で生じたかが不明の場合に、誰が責任を負うかを明定することです。

    販売店側が全く製造に関知していない場合には、当該瑕疵の発生原因が不明の場合であっても、供給者側が責任を負うこととするのが自然だと思われます。

    しかし、販売店側の設計や仕様に基づく場合に、理由が分からない場合にどちらの責任とするか、あるいは責任をどの程度分担するかという問題は、なかなか解決困難なものです。

    従って、実際の設計図や仕様書にどの程度販売店が関与しているのか、販売店側が当該問題の発生を食い止める方策はあるのかなどを詳しく分析し、契約交渉をしていくことが必要です。

    もちろん、供給者側としてはその逆で、販売店側の責任までをも供給者側が負担することを避けるよう交渉する必要があります。


  • 知的財産権紛争条項

    供給者が納入する目的物につき、第三者の知的財産権を侵害しない旨の保証を規定するものです。

    また、販売店と第三者との間に知的財産権に関する紛争が発生した場合には、当該紛争の解決および賠償に関して供給者が責任を持つ旨を規定します。

    ポイントは、上記の製造物責任と類似していますが、当該知的財産権紛争が誰の責任で発生したかによって、責任の負担者をきちんと分けるということです。