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ソフトウェアライセンス契約の説明−1(契約書解説)Software License Agreement

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1.ソフトウェアライセンス契約(サブライセンス権付き)とは


ソフトウェア・ライセンス契約書とは、コンピュータ・ソフトウェア(通常はプログラムとマニュアルなどの関連書類を総称してソフトウェアといいます)を、コンピュータ等の電子計算機上において使用することを許諾する契約をいいます。

ライセンス契約には、このほか、ノウハウや特許・実用新案権のライセンス契約(実施許諾契約)や商標のライセンス契約(使用許諾契約)などがあります。

(*なお、広い意味では営業権の許諾契約もライセンス契約といえますが、営業権の許諾がどのような内容であるかによって、商標やノウハウの実施・使用許諾契約である場合もあり、あるいは、単に販売代理店契約である場合もありますので、ここでは別物として考えたいと思います。)

また、サブライセンス権付き(再使用許諾権付き)のライセンス契約とは、ライセンスを受けた当事者(ライセンシ―といいます)が、再度、第三者にライセンスをすることができる、という内容の使用許諾契約です。

例えば、ソフトウェアの許諾権者(ライセンサーといいます)から許諾を受けた被許諾権者(ライセンシーといいます)が、エンドユーザー(顧客、消費者)に個々のソフトウェアの使用許諾をする、という関係の場合、ライセンシーがエンドユーザーに許諾する権利が「再使用許諾権」ということになります。

上の例でいくと、ライセンサーから単にパッケージ化されているソフトウェアを購入し、それをそのまま売る、=ライセンサーがそのままエンドユーザーに使用許諾するという関係ではなく、ライセンサーから許諾を受けたライセンシーが、そのソフトウェアを複製し、それをエンドユーザーに対して、ライセンシーが使用許諾する、という関係にする場合、上記の「再使用許諾権付き」の「ライセンス契約」が締結されることになります。


2.サブライセンス権付きソフトウェア・ライセンス契約と販売代理店契約の相違


上記の通り、再使用許諾権が付いたライセンス契約においては、ソフトウェアの販売権をライセンサーから許諾されたと同じようなビジネスとなりますので、「販売代理店契約(販売店契約)」類似の関係になるとも言えます。

しかし、「販売代理店契約」は、あくまでも、パッケージングされているソフトウェアを一つの『商品』として、販売代理店が「販売」していくのに対し、「再使用許諾権付きライセンス契約」の場合は、「販売」ではなく、ライセンシーが使用許諾をしていく、という関係になります。

この二つの契約の大きな違いは、ライセンシーがライセンサーから商品を購入するのか、あるいは、ライセンシーが自ら「複製」して使用許諾していくのか、という点です。

前者の販売代理店契約の場合、ライセンサーの「儲け」は、ライセンシーへの「販売」からもたらされるわけです。
しかし、後者のライセンス契約の場合、ライセンサーの「儲け」は、ライセンシーが複製した数に応じた「ロイヤルティ=使用許諾料」からもたらされることになります。

そして、そのような契約形態に起因して、ライセンシーがどの程度複製し再使用許諾したのか、ということを、ライセンサーが正確に把握していく必要が生じるわけです。
販売代理店契約であれば、供給側は、自ら卸売った商品数で利益が自動的にわかります。
しかし、ライセンス契約では、ライセンシーの報告を信じるしか、その複製本数を把握する手段がありません。そのため、ライセンス契約上、ライセンシーの帳簿に対するライセンサーの監査権の規定がなされる、といったことに繋がってくるわけです。

本解説では、以下、このような「再使用許諾権付き=サブライセンス権付き」のライセンス契約について、解説していきたいと思います。


3.ソフトウェア・ライセンス契約(サブライセンス権付き)の構成とポイント−1


  • 定義条項

    契約中でよく使用される語句の定義を予めここでしておきます。

    ライセンスされる「ソフトウェア(本ソフトウェア)」の定義については、ソフトウェアの内容(何のソフトか?)、どのバージョンまでか、更には、プログラム以外にどの範囲のドキュメントが含まれるか、などがポイントとなります。

    また、ライセンシーが再使用許諾できる地域を限定する場合には、その「地域」を定めることになります。但し、国内の一部地域のみを許諾地域とし、その他の地域の顧客への一切の販売を厳格に禁止する場合、独禁法違反となる可能性がありますので注意が必要です

    そのほか、
    「顧客」とは誰か、
    「再販売店」とはどのような者か、
     サブライセンス(再使用許諾)の形態はどのようなものか
      (サブライセンスとは何を意味するか)
    などを定義します。


  • 権限許諾条項

    ライセンサーが、ライセンシーに対し、本ソフトウェアを複製したうえで、顧客にサブライセンスする権限を許諾する旨を定めた条項です。

    ここでは、まず、どのような権利が許諾されるのかをはっきりとさせる必要があります。
    ライセンサーから単にソフトウェアプログラムのオブジェクトコード(機械読み取り可能な形態)を渡しそれに基づいて複製して販売するのか、あるいはソースコードも渡すのか、という点を明確にする必要があります。

    また、単純にライセンサーの製品として複製しサブライセンス販売するだけなのか、それとも一部改変やローカライズや翻訳をした上でライセンシー―の製品としてサブライセンス販売していくことになるのか、という点も重要です。

    さらに、ライセンシーの権利が、ある地域において、「独占的」なのか「非独占的」なのかを明記することも肝要です。

    独占的であれば、ライセンサーは、他のライセンシーや代理人・販売店等を通じて、本ソフトウェアを当該地域で販売していくことはできません。

    なお、普通、ライセンシーに独占権を付与する場合は、ある地域(地方、県など)を分けることが行われますが、地域分けをせずに総販売元として任命する場合もあります。
    どのような場合かというと、ライセンサーは、ただ単に開発技術のみを保有し自ら販売する能力を持たず、販売については専ら第三者に任せる、という場合が考えられます。
    この場合、ライセンサーは、もっぱらロイヤルティ収入のみで利益を得ていくことになります。

    なお、あまりに厳格な地域割りをする場合は、独禁法違反となる可能性もありますので、注意が必要です。

    もう一つ、最近は、インターネット上でのソフトウェアの提供ということが増え、顧客へのソフトウェアのサブライセンスが、いわゆる「ASP形態」で行われることも多くなりました。
    ASPの場合、顧客へソフトウェアプログラムを直接手渡すわけではなく、ライセンシーの提供するウェブ上に載せライセンシーのウェブ(システム)を顧客に使用させる中の一部として、ライセンサーから許諾を受けている当該ソフトウェアを、ライセンシーが顧客にサブライセンスしていくことになります。

    従って、本ソフトウェアを「複製」し「頒布」する権利をライセンシーに付与する必要はないことになりますし、その場合のロイヤルティの算定方法にも工夫が必要となるでしょう。


    本ページの続きは、以下をご覧ください。

    ・ソフトウェア・ライセンス契約のポイント2
    ・ソフトウェア・ライセンス契約のポイント3
    ・ソフトウェア・ライセンス契約のポイント4
    ・ソフトウェア・ライセンス契約のポイント5
    ・ソフトウェア・ライセンス契約のポイント6