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ソフトウェアライセンス契約の説明3(契約書解説)Software License Agreement

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3.ソフトウェア・ライセンス契約(サブライセンス権付き)の構成とポイント−3


  • 支払条項

    支払方法等に関する規定です。
    イニシャル・ペイメントの支払い期日、ロイヤルティレポートの提出と支払期日などが定められることになります。

    ロイヤルティレポートとは、ライセンシーのある期間(1か月とか四半期といった期間)における利益額(あるいは売上額)に基づき実際のロイヤルティ額を計算した報告書で、ライセンシーがライセンサーに提出し、ランニング・ロイヤルティ額を確定していくことになります。

    ここでは、通常の支払いと同様、支払通貨を何にするか(為替リスクをだれが負うか)、振り込みにするか否か、支払期限を何時にするか、送金費用をだれが負担するかということが問題となります。


  • 会計帳簿、ロイヤルティレポート条項

    上記においてロイヤルティレポート、つまりある期間のロイヤルティ額を計算した報告書をライセンシーからライセンサーに提出することが通常で、ランニング・ロイヤルティはそれに基づいて決定し支払われることになります。

    しかし、当該レポートが正しいかどうかは、それを見ただけではあまり良くわかりません。
    実際に、ライセンシーが何本複製し、何本再使用許諾したのか、そのライセンス料(再使用許諾料、販売額といっても良い)が合計でいくらで、その営業に要した費用はいくらなのかが分からないと、ライセンシーが送付してくるロイヤルティレポートが正しいかどうかは分からないことになります。

    そこで、ライセンサーとしては、必要性を感じた場合には、当該ロイヤルティレポートの正しさを検証するため、適切な会計帳簿を作成し維持保管することを、まずライセンシーに義務付けることが普通に行われています。

    そして、その会計帳簿については、適宜、ライセンサーの会計士等の代理人が、ライセンシーの事務所において帳簿の検査およびコピーを取る権限がある旨がここに規定される。

    なお、この監査(Audit)については、ライセンサー側からは、何時でも、事前通知なく、勝手にできる、というような条項が出されてくることが多いわけですが、ライセンシーとしては、当該監査権を飲まざるを得ないとしてもできるだけ回数(例:半期に1回を上限等)を限定し、事前通知の要求、ライセンシーの営業時間における静穏な実施などを求めていくことになります。


  • 競合禁止条項

    特に独占的なライセンス契約の場合に、ライセンシーが競合品を取り扱うことを制限することが多く行われます。
    その理由は、ライセンシーが独占権を有している以上、ライセンサーは、ライセンス許諾地域内で他に販売店や代理店を起用することができません。
    従って、ライセンサーとしては、ライセンシーが一所懸命売ってくれないと困るわけです。
    ところが、ライセンシーが競合品を担いでいると、当該地域においてその立場を強化することが出来ず、売上も伸びません。
    このようなことから、独占的な契約の場合には競合禁止を課すことが多くなるわけです。
    なお、この場合、最低ロイヤルティ額の定めを置き、別の観点から、ライセンシーが最大限の努力を当該ソフトウェア製品の販売拡大に傾注することを、契約上担保しておく場合も多くみられます。


  • 知的財産権条項

    本契約に定められた使用権や複製権等の権利を除き、ライセンサーの保有する本ソフトウェアやプログラム、関連書類に関する著作権や特許権、商標権、営業秘密などの知的財産権は、本契約締結後もライセンサーに留まる旨の規定です。

    ライセンス契約でまず問題になるのは、本ソフトウェアを改変したりローカライズしたりした場合に、当該改変版/ローカライズ版のプログラムや関連書類の著作権を誰に帰属させるか、という点です。

    著作権や発明といった知的財産権は法の原則から言うとそれを創作した人や会社に原始的に帰属することになるわけですが、情報を提供したライセンサーとしては、これを自らのものとしておかないと、後日、自らの足かせになる可能性があります。また、ライセンシーが複数人いる場合にも、統一のとれたライセンシング政策を取りにくくなります。

    従って、通常は、ライセンサーの提供する情報に基づいてライセンシーが創作した知的財産権はすべてライセンサーに帰属すると規定されます。

    ここで、ライセンシーとしては、ライセンサーの情報を用いずに「独自に開発したもの」については、自らの権利とすることが考えられますが、ライセンサーもライセンシーも共に独自開発の「証明」ないし「反対証明」をどのように確保できるかが実務上のポイントとなるでしょう。

    ライセンシーとして契約上に「独自開発物はライセンシーの権利」と規定することに成功したからといって単純に喜んでばかりはいられません。どうやって独自開発したのか、きちんとした立証対策を立てておくことが必要となります。


  • 改良条項

    改良条項とは、ライセンサーが契約期間中に本ソフトウェアに関連した技術などを改良・開発した場合に、ライセンシーに対して開示する義務を負う旨を定める規定です。

    具体的には、契約期間中、ライセンシーはライセンサーの改良技術をも必要な範囲で使用する権利を付与される、ということになります。つまり、ライセンシーの権利を規定したものです。

    ライセンシーとしては、本契約で許諾された「独占」的な再使用許諾権(サブライセンス権)を契約期間中ずっと効力あらしめるには、ソフトウェアの最新バージョンに関する権利を常に確保しておくことが肝要です。
    そのためには、ライセンサーが新たに改良したあるいはバージョンアップした版について、これまた独占的な使用複製の権利を与えてもらっておくことが必要なのです。

    また、前条の点とも関連しますが、ライセンシーが改良ソフトウェアや改良技術を開発・創作した場合、その権利を誰が使用したり複製したりすることができるのか、という問題があります。これは権利の帰属の問題ではなく、使用権の問題です。


    もし完全にライセンシーが独自に開発したものである場合、権利がライセンシーのものとなったとしても、ライセンサーとしてはその使用権、複製権、実施権等を得ておくことが、以後のライセンシング政策にとって必要となります。
    また、改良技術がライセンサーの保有するものとなったとしても、ライセンシーは、その技術の使用権、複製権、実施権等を得ておけば、とりあえず契約が継続している間は不自由なく事業を展開することができるわけであり、無理に著作権等を自らに帰属させずとも問題がない場合もあります。

    ソフトウェアの内容、今後の状況などを考慮し、ライセンサー、ライセンシーそれぞれのメリット・デメリットを良く検討して細かく定めることが必要になる場合もあります。

    (ただし、ソフトウェア・ライセンスの場合は、特許ノウハウのライセンスほど複雑にはならないでしょう。)




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