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取引基本契約書のポイント4(契約書解説) Basic Supply and Purchase Agreement

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3.取引基本契約の構成と契約条項のポイント W


  • 支給品・貸与品条項

    製造委託の要素を含む取引基本契約において、買主側から売主=製造側に材料を支給したり、金型等を貸与したりすることがあり、そのための規定です。

    支給品は、製造側に支給された後目的物の一部として買主側に戻ってくることになります。
    従って、その価格をどのように精算するかがまずポイントとなります。
    また、一旦所有権を製造側に移転させるのか、または買主側に留保しておくのかもポイントとなります。

    金型等の貸与品がある場合、契約終了時その他必要がなくなった場合には買主側に返還してもらうことになりますが、その時まで善良な管理者の注意義務をもって管理し、滅失棄損の場合における賠償義務や、損害保険(火災保険)の付保義務などが売主に課される場合もあります。

    また、目的外使用の禁止を明記したり、第三者に対する製造には使用しないこと(競合禁止)を明記することが多いようです。


  • 下請条項

    製造委託的要素がある場合には、製造側が下請を起用できるかどうかを明記しておくことも必要です。

    製造委託契約は、請負契約の一種と考えられ、日本民法では製造側が下請を起用することは自由にできるとされています。

    従って、品質管理や秘密情報の流出、貸与品等の管理の厳格化を図ることを買主側が重要視するのであれば、下請禁止を規定する必要があると言えます。


  • 支払条項

    個々の個別契約における実際の支払金額は個別契約上に記載されることになりますので、ここでは、支払い方法や支払い期日という一般的な事項を定めることになります。

    国内企業間の売買契約の支払については、通常、銀行口座への振り込みによるとする場合が多いと思われます。

    また、最近では、小口のPayPalシステムによるとする場合も見られるようになりました。
    (PayPal社は米国のeBayが親会社となって設立された米国法人で、インターネットを利用した決済サービスを提供するアメリカの企業。詳細は同社ホームページにてご確認ください)

    ポイントは、支払期限を何時にするか、送金費用(銀行手数料等)を誰が負担するか、有償支給材との相殺をするかどうか、などです。

    なお、支払条件を個別契約ごとに定める場合もあります。

    1個別契約あたりの支払額が大きい場合や商品やサービスの形態によって支払い額が大きく異なる場合、あるいは基本契約段階で支払について詰め切ることができなかった場合などでは、個別契約任せにしている場合も多々存在します。


  • 製造物責任条項

    目的物に関し製造物責任問題が生じ買主側が紛争に巻き込まれたり賠償義務を負った場合に関する定めです。

    製造物責任とは不法行為責任の一種で、製造物の欠陥によって製造物の購入者などが損害を負った場合に、当該製造物の製造者や初めて輸入した者などが、賠償義務を負うとする責任です。

    不法行為責任の一種ですから、賠償者と被害者との間に何ら契約関係がない場合でも責任を負うことになります。

    この責任は、国内取引だけの場合は、通常は実際に製造を行った者のみが負担する責任ですが、海外取引の場合、日本国内に初めて輸入した者も責任を負わなければなりません。
    また、国内取引の場合でも、第三者が製造した製品に、自分が製造業者として商号や商標などを付したり、当該製品の実質的な製造者と認めることができるような氏名を付した場合には、実際に製造に携わっていなくても、製造物責任を負うことになります。

    しかし、製造物の製造者(=取引基本契約上の売主)と販売者(=取引基本契約上の買主)との間は、製造物責任法のカバーする領域ではありません。
    そこはあくまでも契約上の問題となります。

    つまり、製造物責任法により取引基本契約上の買主が被害者に賠償義務を負ったとしても、それが賠償した賠償額を実際に製造した売主に負担させる=補償してもらうことは、契約上の定めによることになります。

    そのポイントは、仮に、製造物に関する問題が誰の責任で生じたかが不明の場合に、誰が責任を負うかを明定することです。

    買主が全く製造に関知していない場合には、当該瑕疵の発生原因が不明の場合であっても、売主側が責任を負うこととするのが自然だと思われます。

    しかし、買主側の設計や仕様に基づく場合に、理由が分からない場合にどちらの責任とするか、あるいは責任をどの程度分担するかという問題は、なかなか解決困難なものです。

    従って、実際の設計図や仕様書にどの程度買主が関与しているのか、買主側が当該問題の発生を食い止める方策はあるのかなどを詳しく分析し、契約交渉をしていくことが必要です。もちろん、売主側としてはその逆で、買主側の責任までをも売主側が負担することを避けるよう交渉する必要があります。

    なお、売主から買主への賠償範囲としては、買主が被害者に支払った賠償だけではなく、商品を市場から回収するためにっかった費用までをも含むとする必要があります。