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売買契約・不動産売買取引契約の作成のポイントSales and Purchase Agreement

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売買契約のポイント−全般−


売買契約の作成に関する一般的なポイントは、以下の通りです。

なお、ここで一般的な売買契約書といっているのは、継続的な取り引き関係に立つ売買基本契約(取引基本契約)の場合と、1回限りの単発の売買契約の双方を含みます。

@ 所有権の移転時期を何時にするか、危険負担の移転時期をいつにするか。

・所有権に関する民法の原則では、所有権は、契約と同時に買主に移転するとされていますので、仮に所有権の移転時期に関する契約上の定めをしない場合、契約締結と同時に目的物が買主の所有になってしまいます。
 従って、目的物が高額なもの(貴金属、不動産等)、あるいは買主の財務状態に不安がある場合、売主としてはかなり高度の支払いリスクを負うこととなります。
 よって、契約上、所有権の移転時期と売買代金の支払い時期を合わせるようにすることが通常です。また、不動産の場合には、代金支払い、引渡および登記、所有権移転時期の3つを同時にすることが通常です。

・危険負担とは、契約締結後において、例えば雷が落ちて目的物が滅失してしまったような場合に、その損害を誰が負担するのか、という問題です。
 危険負担に関する民法の原則は、目的物が特定物(世の中に一つしかない)場合は、契約後は原則として買主がすべて負担するとされていますので、上記の例で滅失した建物や商品等の滅失に関する損害は、買主が負担することになります。

 この結果、どういことになるでしょうか。
 契約はそのまま残っていますので、買主は代金の支払いをしなければなりません。しかし、目的物は滅失しているので、売主から引き渡しを受けることはできません。つまり、買主は代金全額を払ったのに目的物を得ることは出来ない、そういう結果になるとされています。

 これはいかにも不都合ですので、契約上、所有権の移転時期に合わせたり、あるいは納品時、検収時などに買主に移転すると定めることが通常です。


A 検査の義務をどこまで課すか。また検査の方法、基準をどう定めるか。

・商法の規定では、買主は目的物を受領後、遅滞なく検査する義務があるとされており、その検査をしなかった場合、直ちに発見することができない瑕疵を除き、瑕疵又は数量不足を理由とした賠償・解除はできないとされています。

  この義務をそのまま買主として認めるのか否かを、目的物の特性に応じて決定していくことが、契約書を作成する際には重要となります。

 また、検査の基準および検査方法をどのようなものにすべきか、という点についても、契約上明確化しておくことが肝要でしょう。納品前に予め両当事者で合意しておくことが肝要です。


・売主側に、納品前検査義務を課すかどうか、についても検証が必要です。
 また、継続的な契約の場合、売主の検査をもって買主は検査を省略するあるいは買主の検査に代える、というような規定がされる場合もあります。(ただし、買主が検査権を放棄せず必要に応じて検査できる権利を留保することが多い)

・買主側の受け入れ検査の内容〜抜き取りで良いのか、全量検査するのかについても規定しておくべきでしょう。


B 瑕疵担保責任の期間、内容(修理、交換、代品納入、賠償)

・ 瑕疵担保に関する民法の原則:瑕疵発見後1年、無過失責任、損害賠償・解除(修理)
       (納入後10年)

・ 商事売買:受領後6カ月(商法526条2項後段)


C 保証の内容(機能の保証、性能の保証)

・ 商品が仕様等に定められた機能を発揮すること(データベースのマッチング機能が利用できること)の保証にとどめるか
それとも、 一定の性能を発揮すること(ex. 当該検索の応答速度が常に0.1秒以内であること)の保証までを行うか。

・ 性能の保証を行う場合、性能が発揮されるための「条件・環境」をどこまで明記できるか。


D 代金支払時期と納入時期


不動産売買契約書に特有のポイント


不動産の売買契約においては、まず、その物件の特定をしっかりする必要があります。
その理由は、物件があいまいでは契約の成立すら危ぶまれるという純粋契約学的な見地のほか、不動産の売買取引は、最終的に法務局に登記することで決着するものですので、登記申請に耐えうる契約書となっている必要があります。

また、目的物である土地、建物は、非常に高額なものでありますから、登記と支払いと所有権の移転とを一致させる必要もあります。

もし登記よりも支払いが先の場合、売主が逃げてしまって第三者に売ってしまい、登記をしてしまえば、最初の買主に救われる方法は、損害賠償のみとなりますが、この場合通常売主は行方知らずになっているでしょうから、結局、高い売買代金が1円も戻ってこない、というような悲惨な結果となります。

よって、物件の特定に慎重になることが、まず第一です。

@ 目的物の特定(番地、地目、図面)

・ 登記のための原因証書とする必要がある→契約書面上で登記に必要な物件の特定のための項目を入れておく。

・ 「公図」:登記所に備えられている土地図面→正しいとは限らない。実測必要


A 手付の有無、及び手付の性質(解約手付、証約手付、違約手付の区別)+手付解除が認められる期間

・ 手付に関する民法の原則:解約手付と推定される(557条)=手付放棄・倍返し解除


B ローン不成立の場合、無条件解除権の有無

・ 銀行からのローンで物件購入代金とする場合
→銀行ローンを借りられなかった場合に、ペナルティなしに契約を解除できるとすることが多い(不動産業者の標準契約)


C 移転登記の時期、及び方法

・ 移転時期と代金支払時期の関係

・ 銀行会議室等に売主、買主、司法書士、銀行員が一同に会した引き渡しと支払い


D 抵当権などの権利が付着している場合の抹消義務

・ 抵当権等担保物件を除去してから買主に移転させる義務があるか否か。

・ 買主が抵当権に係る債務分を引いた代金で物件を購入する場合もある。


E 租税公課の負担方法(固定資産税)

・ 租税は、1月1日現在の所有者が、国に納めることになっている。

・ 年度途中で所有者が交代しても、税金は還付されない。











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